国保は子どもがいるほど損

ちなみに後期高齢者医療制度は、年間医療費が約94万円とずば抜けて高額だが、これを運営する資金は、加入者本人の保険料1割、公費約5割、他の公的医療保険からの支援金約4割で構成されている。

「国保は加入者の平均年齢が高く、医療費が高くなりやすいのに、定年した人が入るくらいですから所得が低い層が多く、所得に応じた保険料だけでは医療費をカバーできません。そのため世帯あたりの加入者の人数に応じて均等に負担する『均等割』、地域によっては全世帯が平等に負担する『平等割』といった応益割があります。被用者保険にはない、世帯人数に比例して保険料が高くなる仕組みが国保にはあり、これが加入者の負担を一層重くしているのです」(寺内氏)

(写真提供:Photo AC)

例えば世帯主の夫がいて、妻、子どもがいれば、3人分の「均等割」が発生してしまう。住まいの地域によって金額に多少差があるが、東京都のある区で40代の親と10代の子ども2人暮らしの場合(我が家のことだ)、所得400万円とすると、国保料は年間約60万4000円。

同条件で40代の親のみであれば、年間保険料は約53万5000円と、6万9000円も減額になる。いってみれば家族が多いほど、子どもがいるほど損な国保なのである。

大阪府大阪市在住で現役40代夫婦と未成年の子ども2人(小・中学生)の4人世帯で世帯所得が300万円の場合なら、国保料は年間約66万円と試算されている。所得の22%だ。

国保加入者以外の人は、自身の所得の22%が健康保険料としてもっていかれることを想像してほしい。