終止符

「あれから丸6年経つのですね。息子さんが御存命なら小学校は卒業の時を迎えます。もうランドセルは使いませんね」と語りかけると、母親の形相が変わりました。

「このままでは成仏できません。お母さまが息子さんの死を認めてあげることで、安らかに眠ることができるのですよ。お嬢さんも、前を向いて生きていけるのですよ」と伝えました。

(写真提供:Photo AC)

そのまま2年ほど経った頃だったでしょうか。父親から納骨しますという連絡が入ったのです。

あれから少しずつ現実を受け入れていき、子ども部屋にあったものを処分なさったということでした。そして最後まで残ったのが骨壺です。

そんな中、大学受験を控えた娘さんが「あの子の分まで頑張る」と宣言すると、ご家族の決意が固まったようでした。

納骨して長年の苦しみに終止符を打つと、母親はうつ状態から回復、今ではパートの仕事をしておられます。