(写真提供:Photo AC)
厚生労働省が公表した「令和5年(2023)人口動態統計(確定数)の概況」によると、2023年の死亡数は157万6016人で、前年より6966人増加した。「多死社会」への突入が危惧されるなか、YouTubeの登録者数67万人の人気僧侶、愛知県・福厳寺住職の大愚元勝さんは「自分のお墓を誰が守るのかという問題はますます深刻化するでしょう」と語る――。そこで今回は、大愚和尚の著書『心が整うおみおくり-残された人がよく生きるための葬儀・お墓・供養のこと』から、おみおくりとの向き合い方を一部ご紹介します。

執着の手放し方

四十九日までを忌中とし、四十九日供養を経て忌明けを迎えます。その後も引き続き親族は故人を偲ぶ期間である喪中にあり、正月や祝い事など慶事を控えて慎んだ生活を送ることが習わしです。

一年で喪中期間は終わり、その頃には愛する人との死別の苦しみも落ち着くケースが多いのですが、いつまでも喪が明けない家もあります。

その子が小学校1年生の時でした。新しいランドセルを背負って登校する途中に信号無視をした車による事故の犠牲になったのです。

ご家族の衝撃と悲しみの大きさは計り知れず、母親は精神状態が乱れ、葬儀に出ることさえできませんでした。

告別式を行い、火葬の儀式をして、父親は四十九日を終えたらお墓に納骨してあげなければと考えていましたが、母親の哀しみから、しばらく近くに置いておきたいということになりました。

そのまま一周忌を迎え、三回忌を終えます。法要のたびにお宅に呼ばれて読経させていただきましたが、骨壺はいつもリビングにある仏壇の前に置かれていました。