(写真提供:Photo AC)
厚生労働省が公表した「令和5年(2023)人口動態統計(確定数)の概況」によると、2023年の死亡数は157万6016人で、前年より6966人増加した。「多死社会」への突入が危惧されるなか、YouTubeの登録者数67万人の人気僧侶、愛知県・福厳寺住職の大愚元勝さんは「自分のお墓を誰が守るのかという問題はますます深刻化するでしょう」と語る――。そこで今回は、大愚和尚の著書『心が整うおみおくり-残された人がよく生きるための葬儀・お墓・供養のこと』から、おみおくりとの向き合い方を一部ご紹介します。

亡き夫とは同じ墓に入りたくありません

死んだあとにはすべての煩悩を手放すという仏教の捉え方からすれば、同じお墓は嫌だと別のお墓に入ったところで、大きな意味はないのです。

どんな事情から夫と同じお墓に入りたくないという気持ちをお持ちであるのかわかりませんが、いずれにしても夫の生前に離婚するという結論には至らなかった。

子どものためにと考えておられたのかもしれませんし、経済的理由によるものかもしれません。

けれど離婚しないと決めたのはご自分であるはずです。ならば、そのことによって派生するさまざまなことを受け止めなくてはいけないと私は思います。

質問者の心を占領しているのは意地でしょうか。でもその意地に翻弄されるのは故人ではなく遺族です。

たとえばお子さんがいるなら、お子さんはお父さんの眠る場所とお母さんの眠る場所を別々にお参りすることになります。子孫に迷惑をかけることになりかねないということなのですが、それでも意志を貫きますか?