安心して旅立つことができるなら

あるご夫婦には子どもがなく、犬を我が子のように可愛がっていたということですが、その犬が死に、その後、奥さんががんで余命を宣告されました。

その折にご主人が私のところへみえて、「妻と犬を同じお墓で眠らせてあげたい、そのことを妻に伝えることができたら安心して旅立つことができるだろうと思うのです」とおっしゃいました。

「妻は安心して旅立った」と思うことが遺されたご主人の心を癒やすことにつながるのなら、お断りする理由はありません。そこで納骨堂や樹木葬を通じて永代供養をなさることをお勧めしました。

合祀ではない個別のお墓であれば問題はないと私は考えています。まだまだ少ないとはいえ個別のお墓は増えています。

ペットについての考え方は宗派ではなく住職によって異なるので、一度、お寺を訪ねて住職に相談してみてはいかがでしょうか。

 

※本稿は、『心が整うおみおくり-残された人がよく生きるための葬儀・お墓・供養のこと』(中央公論新社)の一部を再編集したものです。


心が整うおみおくり-残された人がよく生きるための葬儀・お墓・供養のこと』(著:大愚元勝/中央公論新社)

葬儀は亡き人のためならず。生きていく人の心をラクにする――。

愛知県・福厳寺の住職であり、YouTube「大愚和尚の一問一答」で人気の大愚和尚が、選択肢の増えた弔いの儀式から供養のありかたまで、はじめて「死別」との向き合いかたをアドバイスする一冊。

亡き人と向き合うことが、残された人が未来を生きるうえで大切な癒しになることを、やさしい言葉で語りかけます。