なぜ人は年を取ると孤独を感じるようになるのか(写真提供:写真AC)
3歳で経を習い5歳で葬儀デビュー。寺を飛び出して起業すると、23か国を旅して40歳で寺に戻るという波乱万丈の人生を送ってきた大愚元勝和尚。YouTube「大愚和尚の一問一答」の登録者数は34万人を超え、手紙やメールでの人生相談が後を絶たないそうです。一方、人とのつながりが減った今、「孤独」を覚える機会が年を取るほど増えていく印象がありますが、和尚いわく、そもそも「孤独」に向き合うことに大切な意味があるそうで――。

この世の真理「縁起」とは

仏教の基本的な考え方に「縁起(えんぎ)」というものがあります。「縁起」とは「生きとし生けるものはすべて関係性によって成り立っている」というこの世の真理です。

固定された「私」は存在せず、たとえば会社の部下から見れば「上司」、家に帰れば「夫」、子どもから見れば「お父さん」といった具合に、人は関わる人との関係性によって役割が違います。

そのため「私はこういう人間だ」と自分で自分を固定してしまうと生きづらくなってしまう。人はみな、その都度その都度の役割を果たしていくことが大切なのです。