なぜ年をとると孤独になるのか

さて、ここから本題に入りますが、人が年齢とともに孤独になっていくというのは至極当たり前のことだと思います。なぜなら役割が一つひとつ終わっていくのですから。たとえば定年退職をすれば、「上司」という役割が終わります。妻に先立たれれば「夫」という役割を終えます。

年齢とともに人の役割は終わっていく(写真提供:写真AC)

孤独は誰もが備えている本能ですので、若いときだって孤独を感じることはあるのですが、若さというのはちょっとくらいの孤独なら吹き飛ばしてしまえるパワーがあります。孤独感でモヤモヤしていても、友達とドンチャン騒ぎをしてさみしさを誤魔化すことができるでしょう。忙しくて孤独に浸っている暇がないということもあるでしょう。

一方、年を重ねると体力がなくなり、つきあいを断るようになります。

たっぷりできた自分だけの時間の中で、しんみりと若かりし頃を懐古してセンチメンタルな気持ちになったり、これからのことを考えて不安に襲われたり。それから孤独の大きな要因のひとつに、子どもの独立、親しい人との死別など、出会いより別れのほうが多くなっていくことが挙げられます。