疎外感で傷ついたAさんの例

私のYouTube『大愚和尚の一問一答』には高齢者からの孤独に関する相談も数多く寄せられています。もっとも多いのは「疎外感を感じる」というもの。中でも「子どもの言動に傷ついて絶望から立ち直れない」といった内容が目立ちます。

ここでは80歳になるAさんの話をご紹介しましょう。

Aさんは早くに夫と死別し今でいうところのシングルマザーとして昼も夜も働いて娘さんを育てたとのこと。娘さんは大学に進学して薬剤師となり、やがて職場結婚をしてお子さんに恵まれます。

共働きを望む娘さんの力になりたいと考えたAさんは、孫の面倒を喜んで引き受けることにしました。食事の世話から塾の送り迎えまでしていたというAさんは、「孫はほとんど自分が育てたようなものです」と胸を張ります。そのお孫さんも高校生になり、とここまではよいのですが……。

お孫さんも友達とのつきあいを優先してAさんの家に来なくなっていたある日のこと。あまりのさみしさから娘さんに連絡をして、久しぶりにみんなで会わないかと提案したところ、「みんなそれぞれに忙しいのだから勘弁してよ」と言われてしまったと。

疎外感を感じて傷つく高齢者は多い(写真提供:写真AC)

ひどく傷ついたAさんの手紙は、「もう生きていたくないと考えてしまう私をどうぞ救ってください」と結ばれていました。