大愚和尚「重要なのは、自分自身で『下手なこと』に気づくということ」(写真提供:Photo AC)
「職場の上司と性格が合わなくてつらい」「恋愛がうまく行かず苦しい」など、思い通りにならないことや、さまざまな人間関係に悩んでいる方も多いのではないでしょうか。佛心宗大叢山福厳寺住職の大愚元勝さんは、仏教の思考法に基づいて、自分の心との向き合い方や負の感情の手放し方を伝えています。大愚和尚いわく「重要なのは、自分自身で『下手なこと』に気づくということ」なのだそうで――。

生き方が「巧(うま)い人」と「下手な人」の違いとは

少し難しい言葉になりますが、ブッダの教えを、シンプルに、わかりやすく集約した七仏通誡偈(しつぶつつうかいげ)という偈文(げもん)(仏の教えを韻文[詩]の形式で述べたもの)があります。

諸悪莫作(しょあくまくさ) ……「悪いことをしない」
衆善奉行(しゅぜんぶぎょう)……「良いことをしなさい」
自浄其意(じじょうごい)……「心を清らかに保ちなさい」
是諸仏教(ぜしょぶっきょう)……「覚りを開いたブッダたちが説いた教え」

では、悪いこととは? 良いこととは? それらはいったいなんなのか?

七仏通誡偈の話をすると、よくそのような質問が挙げられます。

ここでいう善悪には、まず道徳的な善悪の意味があります。そして、それと同時に、善は「巧み」であり、悪は「下手」であることを指しています。

道徳を守って生きなさい。
下手をやめて巧みに生きなさい。
そして、心を清らかに保ちなさい。

ブッダはこう説いているのです。