『源氏の物語』、まひろへの複雑な気持ち

━━ 第36回で中宮・彰子が出産。一条天皇の心を彰子に向けたのは、女房のまひろが書く『源氏の物語』であることを初めて知ったききょうの眼光が鋭くて、あの表情は驚きだけではないと感じました。

あのシーンでは、短いながらも喜怒哀楽の全てが入っていました。あの子がそんなすごい作品を書いたのね、という先輩作家としての驚きと喜びと悔しさ。「私たち友達じゃなかったの!?なんで!?」という悲しみと怒り。

全身の毛穴がばっと開いて発汗した後キュッと冷え込むような、声にならない声が自然と出たようなシーンでした。

写真提供◎NHK

 

 

━━第38回で、ききょうが、まひろに『源氏の物語』を読んだことを告げるシーンがありましたが、複雑な気持ちだったのでしょうね。

ききょうは作家として、まひろの作品を素直に素晴らしいと感じたんだと思います。腹が立っていたり嫉妬していたとしても、まずは先輩として「褒める、評価する」ことによって、同じ土俵で戦わない、先輩の尊厳を脅かさないための行動原理は、部活や会社でもあることだなと感じました。

ききょうが最後に「腹を立てている、源氏の物語を恨む」と真っ直ぐ言い放ったのは、それだけまひろを好きで認めていたのと、その恐ろしさも感じたからかなと。

大したことなければきっと言わないですから、無視できない脅威だと察知したからなんでしょうね。

 

━━定子の兄である伊周(三浦翔平さん)は、ききょうにとってどういう存在だったのでしょうか。

定子に対しての言動には眉をひそめることもありましたが、一族のトップとして慕っていたと思います。

呪詛に狂っていく様子もききょうは知らなかったかもしれないですね。

ファーストサマーウイカさん、三浦翔平さん
写真提供◎NHK