ここまで自分と重なる役はなかった
━━大河ドラマに出演する前の自分と今の自分は変わりましたか。
他では得られない経験ばかりで、役者としては考え方やアプローチ方法も色々と学ばせていただいて、成長という意味で変わったこともあると思います。
十代で俳優を始めて、過去いろんな役をやらせていただきましたが、ここまで自分と重なる役はありませんでした。
これからの俳優人生にも「ききょう」という存在が、タトゥーのように心身に消えずに刻み込まれたような気持ちでいます。
大河ドラマへの出演が決まった時は、頑張っていれば良いことがあるのだと喜ぶのではなくて、できるかと不安を感じました。でもクランクインしたら、不安はなくなりました。それは、最高の共演者、スタッフの皆さんがいてくださったからです。もう一度初めから撮影したいと思うくらいにこの現場が大好きでした。
また、リアルタイムにSNSなどで視聴者さんの感想をいただいて、よりこの作品を一緒に楽しむことが出来たのも、とても嬉しかったです。視聴者の方には、細部まで見ていらっしゃる方もいるので、わずかな表情の変化や、声やメイク、芝居での年齢の変化、ききょうの衣装が定子の形見の着物になったことなど、気づいていただいたことは励みになりましたし、緊張感を持って取り組むパワーになっていました。たくさんの声援に勇気づけられる1年間で、心から感謝します。
もし私が今後エッセイの本を出版することがあったなら、『光る君へ』という章段は必ず書きます。
これからも、ききょうは私の中に居続けるので、彼女に喝を入れられないよう、そしてまた大河ドラマに帰って来られるように精進します。
1年間、ありがとうございました。