年を取ってからの長さ

泉さんは幸せです。若者に囲まれ、エネルギーをもらい、一緒に笑い、一緒に悩む。

「皆、なんか焦ってない?」と言い、「若いから焦るのも分かるけど、若いのなんか人生の一瞬よ。年取ってからの方が長いのよ。だからね、休憩が大事。考えながら、止まってもいいのよ。」などと言います。

確かに年を取ってからの長さを、私は実感しています。その日々をどう過ごすか、です。辛い話はいっぱい耳に入ってきます。ニュースでもたくさんありますが、知り合いの人たちからも知らされることが日々多くなってきています。クラス1の人気者で、いつも元気だった人が認知症になってしまったとか、悲しいことばかり。人ごととは思えません。

母のあぐりは、百歳で骨折してから歩けなくなり、7年間、家で寝たきりで過ごしました。頭はしっかりしていて、「もうそろそろ死んでほしいと思ってる?」などと私をからかいました。「私がいなくなったら、アナタは一人よ。それが心配で死ねないのよ。」とも言っていました。でも107歳で長寿を全うしました。母の好きな言葉は「身老未心老」というのです。何よ、むつかしいわね、というと、身は老いても心は老いず、という意味だそうです。確かに、心は老いなかったですね。面白い人でした。

あぐりさんと和子さん
母のあぐりさん(左)103歳のお誕生日祝いに笑顔で