上野「施設の好きな年寄りなんていませんよ」
樋口 家によってはすでに長男にすべて名義を移している場合もありますよ。
上野 相続の二分の一は妻、つまり、お母さんにありますから、分割したほうが相続税だって安くなります。年をとっても財産は自分で握っておくに限ります。
樋口 そうね。自分も取り分があるんだから、ちゃんと頂戴と言わなきゃダメね。
上野 結局、子どもが家を手放したくないという欲でしょう。自分たちがそこにいる生活を手放したくない。だから、お母さんを追い出すんです。いずれ母親が死んだら、母親名義の家は自分のものになるのにね。
樋口 私は、家を出てもいいと思うのよ。老人ホームが行きたくなるような場所になってほしいわけ。
上野 わたしは、最期まで家で、と言っています。
樋口 私は、有料老人ホームがハッピーランドの一つになってほしい。
上野 そんな施設があったら教えてほしいくらいです。施設の好きな年寄りなんていませんよ。やむなく行くんです。親が出ていく理由は何にもありません。家に居座りましょう。
樋口 居座っても幸せの保証はない。この点は、私と上野さんは対立したままにしておきましょう(笑)。