介護のやめどきを選ぶ権利
上野 家族にとっては、親を施設に放り込んだときが介護のやめどきね。
樋口 私はそういうふうには思えないのよ。施設に入れても介護は続くと思う。中身は違っても。
上野 施設に訪ねに行くのも介護といえばそうですが、そんなこと言ったって、目の前に相手がいるのといないのとでは大きな違いです。施設に入れてからもせっせと面会に通う人もいるけど、それを介護と言ってもらっちゃ困るとわたしは思います。
金は出しても、手も足も出さないで済みますから。とはいえ、施設入居を否定しているわけではありません。家族は介護のやめどきを選ぶ権利があると思うので。
※本稿は、『最期はひとり 80歳からの人生のやめどき』(マガジンハウス)の一部を再編集したものです。
『最期はひとり 80歳からの人生のやめどき』(著:上野千鶴子・樋口恵子/マガジンハウス)
家族をやめてつきあいをやめて自分をおりて……
さいごは身ひとつで見果てぬ夢を見続ける。
これ、良き人生。