家族を増やす道筋が、どんどん増えている

二十代後半の女友達は、結婚を視野に入れて付き合っていた恋人が海外転勤になったものの、ついて行く気がまるでない自分に気付いて愕然としたと言っていた。あれだけ忠告したのに、私たちと同じ轍をまんまと踏んでいる。しかし、それはそれでいいとも思う。

別の友人からは、出産の知らせが届いた。妊娠していたことも知らなかった。彼女は四十代前半の未婚者で、出産後、子どもの父親にあたる人と生活をともにするのかはわからない。

そう言えば、精子バンクを利用し、海外で子を授かった友人もいる。彼女も未婚だし、知人レベルまで広げれば、選択的未婚の母は片手分ぐらい知っている。

米国では、選択的未婚の母のことをSMC(Single Mothers by Choice)と呼ぶ。ハリウッド女優のルーシー・リューは、代理出産でSMCになった。

現実は、「夫の転勤についていくか」なんてレベルの話を優に超え始めている。「子をもつこと」と「結婚」がくっついていなくても、女も子どもも、どちらも幸せでいられる時代が、ついにやってきたのかもしれない。彼女たちの共通点は、経済的に余裕があること。なんだかSFみたいになってきたな、と思った。

子孫繁栄に結婚がマストではなくなる未来までは、なんとなく想像していた。同性、異性にかかわらず、成人二人が共同生活を営むための契約、つまりフランスのパックスのようなシステムが日本に導入され、子どもを作りやすくなる日がくるだろうと。

しかし、社会進出と経済力をバックボーンにした、選択的おひとり様マザーの出現がこんなに早いとは思っていなかった。家族を増やす道筋が、どんどん増えている。

現実はいつも想像の先を行っている。少子化問題の解消法は、思いもよらないところにあるのかもしれない。女が子宮を使って子どもを産むのも、あと百年くらいだろうか。


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