この世で人が生きることはじつに面白い

朝のドラマでも既に描かれていますが、笠置さんは非嫡出子として生まれ、養父母のもとで育ちます。そして、笠置さんご自身もお子さんを同じように産み育てられたことを自伝書中で「父を知らぬ不幸な巡り合わせは、奇しくも母子二代またがっている」と書き残されています。

じつは、私の母も非嫡出子として生まれ、幼いころは孤児として生きて来ました。

私がそのことを知ったのは15年ほど前。

なぜ母がそういう境遇になったのかという事実を知ったのは、つい数日前のことです。

衝撃でした。しかし、何かがストーンと腑に落ちた感じがしました。

歌手としてのキャリアの中で私の身に起こったいくつかの出来事が、偶然ではなく、必然であったと思えたのです。

笠置さんは、ご自分の身に起こる出来事を「因縁」という言葉で書き残されています。

私と、私の母の因縁。その話はまたいつか書いてみたいと思いますが、この頃、この世で人が生きることはじつに面白いものだと思うようになりました。生きているつもりで生かされているような、導かれているようなそんな不思議を感じるのです。いったいこれは何なのでしょうね。

笠置さんもきっと何遍も同じことを思われたに違いありません。