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私が結婚したのは夫ではなく、夫の「家」だったの……!?  その衝撃に惑わされながら、なじもうと努力もしたけれど、もう限界。妻たちは姑の理不尽に猛然と立ち向かった――(取材・文=山田真理)

はじめは仲良くできると思った。「いい嫁」になろうと努力もした。好きになった人の家族だもの、多少のことには目をつぶって――でもやっぱり、無理なものは無理。このままでは、「あの人たち」の血を引く、夫のことまで嫌いになってしまいそう。

価値観の違いや無理難題、身内だからという甘え等々に耐えかねて、夫の実家と距離を置くようになった妻たちがいる。「ひどい嫁」の汚名覚悟で挑んだ、縁切りまでの経緯、現在の心境を聞いてみた。

 

「跡取りを産め!」の電話攻勢に…

「20年前、婚約の報告に、“ご本家“へあいさつに行ったときから、なんとなく嫌な予感はしていたんですよね」と語る伊藤里香さん(仮名・49歳)。

姑は転勤族の舅について各地を転々としていたが、代々続く旧家の一人娘。その長男である夫と結婚するからには、生まれてくる子は大事な跡取り。当時は本家に健在だった夫の祖父母を前に、「『この庭にも久しぶりに鯉のぼりが泳ぐのね』などと姑に言われ、背筋がゾーッとしたものです」。

その発言が本気だと気づいたのは、新婚わずか10日目にかかってきた「妊娠した気配はない?」の電話。

「毎日必ず、ひどいときは朝昼晩とかけてくる。姑は友人も少なく趣味もないので、最初のうちはこれも親孝行と我慢していたのですが、だんだん重荷に感じて。夫の口から『新婚なのだから、毎日かけてこないで』と言ってもらったんです」

しかしマザコン気味な夫の言葉は姑には響かず、「いいじゃない、ヒマなのよ」とあっさり。その後も電話攻勢は止まず、ストレスをためながらも半年ほどつきあっていた。