誠意を込めて書いた手紙は便箋5枚分
「でも、『もう許せない!』と思うことが起こって。私が最初の子どもを流産してしまったときです。姑は仰々しく墨文字で”流産お見舞い“と書いた包みを送りつけ、中には現金が5万円。怒りと悲しみを抑えながらお礼を伝えると、姑は『これに懲りず、ぜひ立派な跡取りを産んでちょうだいね』と懇願してきて」
さらには、同時期に義妹が妊娠したことを無邪気に報告してくる始末。あまりのデリカシーのなさに、里香さんの怒りも沸点に達し、「手紙で、『電話の回数を減らしてほしい』『子づくりの話をされるのがつらい』『義妹と比べられている気がする』といったことを伝えたのです」。
誠意を込めて書いた手紙は便箋5枚分。しかし激怒した姑は倍の10枚にびっしりと、「好意をすべて悪意にとる生意気な嫁」と悪口を書き連ねて里香さんの実家へ送りつけた。
「姑の無神経さには、もう怒りを通り越して呆れました。でも、それから何ヵ月間かぴたりと電話が止んだのは、実に快適でしたね(笑)」
姑の意外な一面を見た夫は、やがて里香さんの味方に立つように。そのおかげかはわからないが、しばらくして無事に妊娠。生まれたのは男の子だった。
「産院にやって来た姑が、『里香さん、お手柄でした』とのたまったときは、心の中で『江戸時代かよ!』と突っ込む余裕ができていました」
第2子が女の子で「もう1人男の子を」と言われたときもぴしゃりと断り、中学受験に口を挟んでくれば「時代が違います」とばっさり。言いたいことは我慢しないことにした。
義父のリタイアにともない、本家に帰った姑。久々の田舎暮らしと、煩雑な人間関係を味わったせいか、最近では「必ず帰って家を継げ」という発言も減ってきたそうだ。
「姑が時代遅れな『跡取り信仰』を捨ててくれたら、少しは仲良くなれるかなと期待しているところです」