応接室に現れた祖母は、どういうわけか苦悶の表情を浮かべており…
102歳を迎えた作家の佐藤愛子さん。100万部突破の『九十歳。何がめでたい』(2016年、小学館 )をはじめ、ユーモアエッセイで長く人気を博しています。百寿者とは思えぬ仕事ぶりの一方で、家族からみた佐藤愛子さんの姿とは。孫の杉山桃子さんがコミックとエッセイで描く『婦人公論』の連載「うちのばあさん102歳」。第12回目は「102歳、ケーキを2個平らげる」。
102歳、ケーキを2個平らげる
102年前の11月5日、祖母は大阪府の帝塚山で生まれた。戸籍上の誕生日は11月25日ということになっている。20日ズレても放ったらかしという当時の日本の行政のいい加減さに102年という時を感じる。
102年かけてようやく日本人が洗練されたと言えるのかもしれない。
ささやかな誕生日会をしようと、近所で評判のケーキ屋さんで幾つかケーキを買い、母、Cさん、私で祖母のもとを訪ねた。歩行器にもたれかかりながら応接室に現れた祖母は、どういうわけか苦悶の表情を浮かべており、いきなり我々の度肝を抜いた。
私は終始カメラを回していたのだが、後で確認したところ、映画『ハウルの動く城』に出てくる、魔法が解けた後の荒地の魔女に似ていた。
スタッフさん曰く、祖母は時々こういう表情を浮かべるとのことである。苦しい、しんどいと訴えスタッフさんに心配してもらいたがり、スタッフさんが来ると次の拍子にはケロリとして笑っているのだという。
