遺言書を書いても、配偶者に100%遺産を渡せないケースもある?
Q:遺言書さえあれば、配偶者は本当にすべての遺産を受け取れますか?
A:おふたりさまの場合、兄弟姉妹には「遺留分」がないので、親亡きあとであれば、配偶者に100%財産を渡すことができます。
法的に効力のある遺言書があれば、相続人は遺言通りに遺産を受け取れる……はずですが、そういうわけにはいかないケースがあります。
それが「遺留分侵害額の請求」です。
遺留分とは、一定の相続人が受け取る権利を主張できる相続分のこと。もっといえば、遺言を無視して遺産を受け取る権利のことです。
たとえば、配偶者のように遺産が入ることを期待できる関係の人が、遺言書によって何も相続できないとなってしまったら、人生設計が大きく崩れてしまいます。
そのため、一定の関係性をもつ相続人は遺産を最低限受け取れるよう、遺留分という「最低限の取り分」が定められています。
遺言書がこの遺留分を侵害していると、その分の相続財産を受け取った相続人に対して「私の遺留分を返してください」と請求することができるわけです。
遺留分は、ほとんどの場合法定相続分の2分の1と決められています。
たとえば故人に2人の息子がいて、「財産はすべて長男に渡す」という遺言書があったとしても、次男には遺留分があるため、法定相続分の2分の1を受け取る権利があります(父母など直系尊属だけが相続人の場合、遺留分は法定相続分の3分の1)。