イラスト:やすだゆみ
2024年11月18日放送の『あさイチ』は「知らないと怖い...相続トラブル」を特集。令和の相続事情に迫ります。そこで読者が体験した相続トラブルを書いた『婦人公論』2023年7月号の記事を再配信します。

*****
国立社会保障・人口問題研究所が発表した2015年の出生動向基本調査によると、1997年には11%だった一人っ子の割合は、2015年には18.6%に増え、2人以上きょうだいがいる割合は85.9%から75.2%に。一人っ子の人が増える中、きょうだいどうしで支え合っていけるかと思いきや、人の本性をあぶりだす《お金》に振り回されることはいつの時代も変わらなくて…。長島幸子さん(仮名・香川県・無職・73歳)は、年の離れた姉と仲が良かったはずが、お金をめぐって関係性が変わってしまい――。

甥の妻の借金に呆れ果て

18歳上の姉と私の間にいた6人の兄姉は、私が物心つく前に事故や病気で亡くなりました。そんなこともあってか、姉は私をわが子のように可愛がってくれたものです。

ある日、父が私たちを呼び、「どちらかが婿養子を取り、家督を継ぐように」と言いました。まだ中学生だった私は、人生のレールを敷かれたような重圧に耐えられず、「自分は家を出る」と宣言。結果として、姉が家を継ぐことになったのです。

私が21歳で結婚した後も、姉とは仲のよい関係が続いていました。しかし義兄が42歳の若さで脳卒中で倒れ、中学1年生の男の子と小学5年生の女の子を残してこの世を去ってしまったのです。姉は再婚せず、両親の助けを得ながら子どもたちを育てあげました。

姉の子どもたちも成人し、結婚。母に続き、父も亡くなって間もなくのこと。突然、姉と甥がわが家にやってきました。

話を聞けば、甥の妻が借金をして返済を迫られているが金がない。実家を担保にするしか方法がないので、私に相続放棄をしてほしいと言うではありませんか。無計画な買い物で、クレジットカードでの借り入れと返済を繰り返し、自転車操業状態で借金が膨らんだとのこと。

彼女の金遣いの荒さは耳にしていたものの、これほどまでとはと心底驚き、また、なぜ姉の財産を返済に充てなければならないのかと無性に腹が立ってきました。