阪神・淡路大震災のあと故郷の福岡県・糸島に戻って実家の農業を手伝っていたものの、聖人としてはどうしても神戸に思いが残っていました。
やっぱり理容師をやりたいという気持ちがあったのはもちろん、それ以上に、お世話になった商店街の人たちのために何もできず、ずっともやもやしていたわけです。だから再びの神戸生活では、商店街のメンバーからすごく頼られる存在になっていく。
ただし、外ではしっかりしていても、家ではまったく頼りにならなくて肩身が狭いんです。家族のなかでの男性の立ち位置ってわりとそんなものですよね。僕も似ているなと思います。(笑)
このドラマでは、平成という時代を通して家族や食などいろいろなエピソードが描かれますが、震災も大きなテーマです。阪神・淡路大震災のあと日本は何度も大きな災害に見舞われ、今年も能登で大きな地震と豪雨被害がありました。
こうしてドラマで震災について描き、自分というフィルターを通して何が起きたのかを知っていただくことも、役者の大事な役目。その意味でも、この聖人という役を本当に真摯に演じなければ、とあらためて感じます。