「僕はずっと、他人の物差しで生きている感覚が強かったんです。『人に求められる自分になろう』『人の期待に応えなければ』というのが、とにかく常に最優先。」(撮影:宅間國博)
2024年11月25日の『鶴瓶の家族に乾杯』にウエンツ瑛士さんが登場。高知県津野町を舞台に、『日本最後の清流』とも称される四万十川の源流点について調べる。ウエンツ瑛士さんは、2018年に日本での芸能活動を休止し、単身イギリスへ留学。1年半におよぶ留学の様子や、前後での変化について語った『婦人公論』2020年9月23日号のインタビュー記事を再配信します。

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子役の頃から芸能界で活躍を続けてきたウエンツ瑛士さん。2018年10月に単身イギリスへ留学、世間を驚かせました。テレビの人気者がなぜ突然の長期留学を決めたのでしょうか(構成=大西展子 撮影=宅間國博)

他人の物差しで生きている感覚

1年半のイギリス留学から帰国して半年が経ちます。4歳で芸能活動を始めて以来30年、仕事をするのが当たり前だったので、丸々1年半も働かない生活は僕の人生では初めてのこと。それをイギリスで実践できたのは、自分にとって大きな経験になりました。

日本の社会では、「仕事をしていない人」=「能力がない人」「評価されていない人」という固定観念がありますよね。

僕自身、20代後半に仕事が少なくなった時期があるので、よくわかります。仕事がなくなって、つまり評価されなくなった自分を認めるのは、すごく難しい。当時、結果が出ないなあという自覚もあったし、何より大人たちが、僕の仕事がなくならないように奔走しているのが気配でわかった。その時に自分から人が離れていくという経験もしているので、それがどこかトラウマにもなっていたんですね。

僕はずっと、他人の物差しで生きている感覚が強かったんです。「人に求められる自分になろう」「人の期待に応えなければ」というのが、とにかく常に最優先。そうでなければ仕事は来ないと思い込んでいましたから。

留学前は毎日が慌ただしくて、仕事の波に飲まれているような感覚でした。「いつかこの仕事がなくなるんじゃないか」と、常に何かに追われている感じ。瞬間、瞬間で結果を出さなければいけないという呪縛から逃れられない。

そんなふうだったので、長期的な目線で仕事をするというスタンスが僕にはありませんでした。だから自分に自信が持てなかったし、どんなに頑張っても満足感を得ることができなかった。