苦楽をともにした、かけがえのない庭

そんな庭仕事にはたくさんの労働がつきもの。でも、やることが多い日こそ、まずはゆっくりとお茶を飲んで、1日の流れを頭の中で整理してから臨むそうです。

「春から夏にかけては、毎日が草むしりとの闘い。そういったやりたくない作業も義務感で取り組むのではなく、無理せず、自分のペースでやるよう心がけています。刈った草は、生ごみとともにコンポストへ。堆肥に変え、また庭に戻しています。玄米を精米する際に出たぬかを草木に与えたり、貝殻を砕いて土に混ぜたり、肥料もやはり“お手製”です」。この循環する庭は、伊藤さんにとって日々の糧。苦楽をともにしてきた、かけがえのない庭です。

「皆さんによく『自然の恵みを生かした暮らしですね』と言っていただきますが、むしろ私は自然に生かしてもらってきたのかもしれません。お金がない中、1人で子ども2人を抱え、どうやって生きていこうと思い悩んだときに、豊かな自然に囲まれたこの家に“働いてもらおう”と考えたのです」

 

※本稿は、『70歳をすぎたら、もっと 自分らしく食べて豊かに暮らす』(ナツメ社)の一部を再編集したものです。


70歳をすぎたら、もっと 自分らしく食べて豊かに暮らす』(ナツメ社)

記事でご紹介した伊藤千桃さんをはじめ、シェフ、カフェ店主、美容家、セラピストなど、70代、80代となっても元気に過ごす素敵な12人に取材。仕事や変化への向き合い方、友だちやご近所づきあい、食や健康に対する思いなど、一人ひとりの人生に即した、生きたヒントをたくさん教えていただきました。

また、12人の方が紹介するレシピも掲載。伊藤さんには丸鶏の塩釜/ふきのとうみそ/しょうがみそのディップを紹介してもらいました。他にも、郷土料理を作りやすくアレンジしたレシピ、旅先の思い出が詰まったレシピ、地元の名産品を生かしたレシピ、忙しい毎日を助ける簡単で栄養たっぷりなレシピなど、その人らしさがたっぷり詰まったレシピが満載です。

輝くシニアの秘訣が知りたい方、必見の1冊です。