カツオと二十世紀梨と

ところがその後、コロナ禍に突入。なかなかお会いする機会を作れないままに、夫は3年前、66歳で他界。手漉き和紙の事業も廃業しました。

生前、夫から頼まれていた和紙を高知のお寺に贈ると、そのお礼にカツオや文旦、プチトマトなどが届き、当地の名産をお返ししようと、私も鳥取の二十世紀梨を贈りました。それ以来、今でもお会いすることは叶っていませんが、交流は続いています。

今年3月に義母が亡くなり、とうとう私は一人暮らしになりました。そのことをご住職夫妻に伝えると、三十五日法要に贈られてきたのは見事な6本の白いユリ。もうすぐ百ヵ日を迎える今は、義母が寝室にしていた部屋を改装し、日当たりのいいそこで生活しています。

義母は亡くなる直前まで、「仁淀川がすごくきれいだった」「朝食のカツオのたたきがおいしかった」など、旅行の思い出を楽しそうに語っていました。また友人とでも高知へ出かけたいなあと思っています。


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