父が先か、息子が先か

阿川 私、なぜだか覚えてないけど、唱くん(長男の和田唱さん)のライブに、和田さんとふたりで行ったことあるのよ。

清水 あれ? 母親をさしおいての息子見学。

平野 そんなことあったの? ありがとう。

阿川 たぶんレミさんの都合が悪くなって、私を誘ってくださったと思うんだけど、会場は若者たちで大盛り上がりでしょ。それを見て、和田さんが「なんだか騒々しいね」なんて照れ笑いしてらしてね。

清水 武道館?

阿川 そう。そしたら帰る時、たくさんの若者の中からパッとひとりが駆け寄ってきて、「サインをお願いします」って言うの。

平野 和田さんに?

阿川 和田さんの本を持ってたのよ。父と息子、どちらから先にファンになったかはわからないけど、びっくりするよね。サインしたあと、「ふん」ってまた照れ笑いしてらした。

清水 唱ちゃんはデビュー前から堂々としてて、あがらない子だったね。和田さんの100冊記念のパーティーで、エリック・クラプトンがカバーした古いブルースを歌ったじゃない。あの時、「この子は全然あがってない。淡々としててすごいな」と思った。

平野 あの時17歳で、大勢の人の前で歌うのははじめてだったけど、あれがきっかけでプロダクションの人に声をかけられたのよ。

阿川 前にレミさんとタクシーに乗ったら、ラジオから唱くんの歌が流れてきて。そしたらレミさん、「これ息子! これこれ! これ息子!」ってあんまり言うから、それで私、トライセラトップっていうのをはじめて知った。(笑)

平野 ちがうよ、トライセラトップス!

阿川 あははは。ごめんごめん。

清水 私は唱ちゃんの歌うマイケル・ジャクソンのカバーがすごい好きで、新幹線でレミさんに聞かせたことがあるの。そしたら、「これ誰? 誰? すごい上手!」って。母親なのに、よくわからないものだなって思った。(笑)