創刊以来、《女性の生き方研究》を積み重ねてきた『婦人公論』。この連載では、読者のみなさんへのアンケートを通して、今を生きる女性たちの本音にせまります。今回は、家事に関するアンケート。
家事の分業化の時代
今回のアンケートで、使ってみたいサービスに挙げられていた「家事代行サービス」。『婦人公論』では、何度もその内情を探ってきました。
初出は1983年6月号の記事「主婦代行業のお値段」。ベビーシッター2250円、食材の宅配サービス1150円、フスマの張替え6000円から、夫の愛人問題の解決5万円という変わり種まで……。40年前にはすでにさまざまな「代行業」が存在したようです。
依頼者は主婦、しかも専業主婦が大きな割合を占めていました。その状況は当時の社会でどう受け止められていたのでしょうか。
家事代行サービスを始めた、ある女性社長は、男性記者に「おたくが繁盛するのは、主婦が家事、掃除をサボっているんでしょう」と言われ、反論します。
〈「女性のライフスタイルの変化に合わせて、家事のスタイルも変わりつつあるのですッ(略)部屋の汚れも油が加わり、素人では手入れが大変になっていますし。複雑でやっかいな場所を、主婦の仕事から切り離し、専門家に任せる。つまり、家事の分業化の時代なのですッ」〉(「掃除代行業一年間の決算」88年2月号)
この女性は、ドイツ流の掃除術を広めたフラオグルッペ社長の沖幸子さん。時代の波を読み、新しい暮らし方を提唱する起業家ならではの強い思いが感じられます。