自分はずっと、緩やかだけれども地道に階段を昇っていきたいと思ってきました。じゃあ、一段一段昇っていくにはどうしたらいいか。それはもう、がむしゃらにやるしかなかったですね。

デビュー後は舞台が多かったんですが、僕の場合、業界内では北村和夫の息子だと知っている人もいましたから、「どんなもんだろうね」と、ちょっと意地悪な色眼鏡で見られることもありました。

でも、そんな考えを吹き飛ばすくらいのものを見せたかったし、逆に、「あいついいじゃん。えっ、息子なの?」と思ってもらえたりしたら本当に嬉しかった。

親の七光りと思われたくなくて、一人で気張ってやってきましたけど、必ず見てくれている人がいて、そこから次の舞台につながり、やがて大きな舞台になっていく。

それを映画やテレビの人が見てくれて声をかけてくれる。本当に一つひとつがつながって、北村有起哉という存在が認知されていったと思うんです。