噺家、硬派な刑事、テロリスト……ひとくせある演技で見る人に強烈な印象を与えてきた北村有起哉さん。現在放送中の朝ドラでは心配性の父親を好演している。家に帰れば2児の父で子育てに奮闘中という、名バイプレーヤーの素顔とは(構成=大内弓子 撮影=宅間國博)
父の背中を見て学んだ人としてのあり方
現場にいかにいるべきかを学んだのは父からでした。親父に付き人が必要だったときに劇団の人がつかまらず、母から「鞄持ちをしてあげなさい」と言われて渋々ついていったことがあるんです。
そのときに初めて親父がどう撮影に臨んでいるのかを目の当たりにして、ちょっと衝撃を受けました。というのも、共演者の方やスタッフの方へ、想像以上にきちんと気配りをしていたんです。
セリフを覚えてちゃんとお芝居をするのは当たり前のこと。それ以上に大事なのは人としてどうあるべきかなんだな、と気づかされました。
周りはその人の人間性を見ているんだから、ちゃんとした人間でいよう。それこそが仕事をつなげていくために大事なことだと、肝に銘じました。