妻もかつて『さくら』(2002年)という朝ドラでヒロインを経験しています。ヒロインの大変さとは比べ物にならないですが、今回の父親役はけっこう長く出番があるようなので、留守も長くなる。それでも僕がやりたいと思っている気持ちも理解してくれて、感謝しかないです。

撮影がないときは東京に戻って家族サービスをしていますが……いや、これもサービスと言ってはいけないですね(笑)。そのあたりのことはさんざん学んできました。

僕が妻の大変さをわかっていなくて、ぶつかったこともあります。さまざまなことを乗り越えてきたからこそ妻も、「行ってらっしゃい。頑張ってきてください」と送り出してくれるのでしょう。

若かりし頃の野望が実現し、50歳を迎えて次の野望とするべきは、今のペースをなるべく長く持続させる、ということ。

例えば、朝ドラに限らずいろんなお父さん役をやる。そうしているうちに今度は、いろんなおじいちゃん役をやるようになるでしょう。それには、できるだけお芝居の鮮度を落とさず面白いと思ってもらえるようにならないといけないし、人としてのあり方を大事にすることは忘れてはならない。

親父は80歳まで仕事をしていたので、少なくとも81歳まではやるぞという気持ちもあったりします(笑)。30年以上ありますから、まだまだ。いや、あっという間かもしれませんが、変わらず、地道に一段一段昇っていきたいと思います。