祈ることしかできない、と言うけれど

人生100年時代――。寿命が延びたのは素晴らしい恩恵ですが、同時にさまざまな不安が伴うようになったことでしょう。私のもとに届くお手紙にも、健康や家族関係、お金に関する不安な胸の裡をしたためたものが多いですね。

世界に目を向ければ、各地でやまぬ戦争や紛争、気候変動や自然災害など、厳しい現実が広がっています。

そこへ拍車をかけるように、2024年は元日に震災が起こりました。一番大変なのは当然、被災された能登地方やその周辺の方ですが、日本中の誰もが「これから始まる一年はどうなるのだろう」と暗澹たる気持ちになったと思います。

東京でも激しく揺れました。これはただごとではないと感じた私は、その時にはまだ何の情報もありませんでしたが、「どうか被災された人びとの心を癒やしてください」と神様に祈りを捧げました。

厳しい局面に立たされた時、人はよく「祈ることしかできない」と言いますね。でも、これは真理だと思います。先日、テレビでメジャーリーグのワールドシリーズを見ていたら、優勢だったヤンキースをドジャースが逆転して。その時、解説者がこう言ったんです。

「誰かが力を発揮すると、ポジティブなエネルギーに押されて一気に試合の流れが変わるのですが、そのことを今日の試合ではっきり感じ取れました」

祈りにも同じ力があります。目には見えないけれど、よきほうへと誘う力が必ずある。逆に「不安だ、不安だ」と口にしていると、ネガティブな雰囲気が周囲に伝わってしまいます。

不安は伝染病のようなもので、家でお母さんが不安そうにしていると、子どもの精神状態まで不安定になってしまうのと同じですね。不安を抱いた時こそ、努めて「大丈夫、大丈夫」と心を切り替えてみてください。