創刊以来、《女性の生き方研究》を積み重ねてきた『婦人公論』。この連載では、読者のみなさんへのアンケートを通して、今を生きる女性たちの本音にせまります。加齢とともに生じるさまざまな《不便》。それをカバーするために、していることはありますか?今回は「老眼」や「目の不調」についてリアルな声を集めました。
とうとう来たか
〈夜、ベッドで本を読んでいると、腕がバカに疲れるのだ。気をつけてみると、私は腕を一杯に伸ばし、本を遥か五、六十糎も彼方に持って読んでいるではないか。
これじゃ疲れるわけだワイと本を手元に引き寄せてみると余り明るくないベッドランプの下、活字はぼんやりと滲んで崩れ、殆ど判読出来ないではないか。
/とうとう来たか!! ――私はガク然とした〉
これは『婦人公論』1983(昭和58)年6月号に掲載された、野際陽子さんのエッセイ「私のメガネ」の一節です。
それから数年間のらりくらり引き延ばし、そろそろ限界という47歳の誕生日、友人に「ローガンキョー」をプレゼントされた野際さん。いざかけてみると、読む時にしか使わないコレの扱いは、案外難しい。
〈読む時に何気なくバッグから取り出し、終ると何気なくしまう……という事になるのだが、(略)どうもオドオドした感じになってスマートにいかない。(略)
コソコソするからいけないんだ。恥ずかしがらずに堂々とやれ!!――と自らを叱咤しても、スマートで知性的なローガンキョーの扱いをするにはまだまだ修業が必要だ〉(同)