何が史実で、何がフィクションか
ちょうどこの映画の時代背景とされる「コモドゥス暗殺後17年目」の209年ごろは、史実においてもカラカラ帝(在位198年~217年)の在位に重なります。カラカラ帝はカラカラ浴場の建設で有名で、名前だけ聞くと明るい兄さんと言う感じですが、実際は暴虐と退廃の限りを尽くした暴君で、キリスト教徒をライオンに食わせて火あぶりにした皇帝ネロも吃驚なキャラ。
後に民主化運動が起こってくるのも頷ける、混乱した社会の空気が実によく描かれていて、「国乱れて忠臣あらわる」と言う感じで登場するのが、「ルシアス」なんです。
ただし、今回の映画は前述のようにかなり創作が入っていますから、先ずは先入観なく本作を楽しみ、その後「何が史実で何がフィクションか」を学ぶのがおすすめです。
歴史的にもその後、カラカラを暗殺して次のローマ皇帝になったのがマクリヌス。映画では同じ名前の元奴隷の黒人商人が、ルシアスをたきつけて剣闘士とし、後皇帝暗殺にも関わっています。
1人の皇帝マクリヌスの人生が、マキシマスとマクリヌスに分かれて演じられているところも、この映画を少し難解にしていますが、まずは先入観なしにこの映画を楽しみ、そのあと「何が史実で、何がフィクションか」を学ぶのがおすすめ。そのあとで見直すと面白さ倍増! 何回見ても新しい発見があり、それぞれのキャラクター造形を楽しめます。