1989年に漫画家デビュー、その後、膠原病と闘いながら、作家・歌手・画家としても活動しているさかもと未明さんは、子どもの頃から大の映画好き。古今東西のさまざまな作品について、愛をこめて語りつくします!(写真・イラスト◎筆者)
期待を裏切らない映画
第1回シネマニアは、『グラディエーター』。ラッセル・クロウの雄姿に胸躍り、涙したのは私だけでは無いはず。それから24年の時を経て公開された『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』は、期待を裏切らない迫力!
ただし今回は、ラッセル・クロウ演じるマキシマスは出てこない。そもそも前作で死んでしまいましたし、今の彼はバチカンのエクソシスト役で忙しそう(笑)。けれどマキシマスの伝説は、重要な歴史として記憶されていてこその本作なのです。
さて。生前のマキシマスと意味深な視線のやり取りをした、最後の五賢帝マルクス・アウレリウスの娘ルッシラの息子が、やはりマキシマスの子でありました。「〈ルシアス〉と名づけられ異国で育った青年が、やがてローマで母と再会。マキシマスの息子だとの自覚に目覚め、最初は復讐の鬼でしかないが、やがてローマの自由のために戦い、英雄となっていく」というのが、第2弾の根幹です。
実父マルクス・アウレリウスを殺して皇帝となったコモドゥス亡き後、息子のルシアスが皇位継承権争いに巻き込まれることを恐れたルッシラは、彼をアフリカのヌミディアに逃がし、平民「ハンナ」として育てさせます。
「母に見捨てられた」との悲しみを抱えながら、ハンナことルシアスは育ち、ちょっとアダルト・チルドレン気味。それでも立派な青年となり、愛する妻と共に幸せな生活をしていました。これが、コモドゥスとマキシマスの死から17年後という設定。