「やり直しがきかない緊張感」で作られている
さて、作品中にはコロッセオの模擬海戦や、ヌミディアを攻撃するローマ軍の火炎投石機など、2000年前に実際にあった吃驚する武器や戦闘シーンが多く登場します。多少CGは使用しているでしょうが、ロケ撮影と多数のカメラの同時撮影に拘ったリドリー・スコットは偉い! 2000年前の出来事をそのままのように演じる役者を多数のカメラが色んな角度で撮影する手法が、あの迫力を生むのでしょう。そしてその方法は、「映画が特別に贅沢な表現」だった時代の「やり直しがきかない緊張感」で作られた往年のハリウッド映画の制作方法にむしろ近いのかもと思いました。
見ているときに「あ、これは『ベン・ハー』、こちらは『スパルタカス』へのオマージュ」と、思う場面が多々あり、この映画を更に楽しむためには、是非とも「ハリウッド・ローマ帝国もの」を見てほしい!
『ベン・ハー』(1959年、ウィリアム・ワイラー監督/チャールトン・ヘストン主演)、『スパルタカス』(1960年、スタンリー・キューブリック監督/カーク・ダグラス主演)、『クオ・ヴァディス』(1951年、マーヴィン・ルロイ監督/ロバート・テイラー、デボラ・カー、ピーター・ユスティノフ出演)などがマストなタイトルでしょうか。
驚くのは、CGを駆使した現代の映像に遜色ない映像と迫力です。『ベン・ハー』の戦車競走のシーンで、宿敵が落下し、何頭もの馬に轢かれるシーンは、今見ても「痛い!」です。その痛さはこの『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』にも引き継がれています!