論文の多さが教授を選ぶ決め手になりやすい理由

論文の多さが教授を選ぶ際の決め手になりやすいのは、大学の国際競争力を高めるためと称して、論文をたくさん出す大学に補助金をつけるという文科省の方針も大きく影響しているのではないかと思います。

臨床そっちのけの人間を教授にしていいのかという声は、厚労省のほうからも上がってはいるようですが、文科省は聞く耳を持たないようで、その論文重視の傾向に歯止めがかかる気配はありません。

(写真提供:Photo AC)

実際、全国には医学部の精神科が82もあるというのに、カウンセリングや精神療法(心理的な手段を用いて患者の心身に働きかける治療法)などの心の治療の専門家が主任教授になっているところは一つもありません。

なぜなら生物学的精神医学(脳や薬)の研究者や薬物療法中心の人のほうが圧倒的に多くの論文を書けるからです。