色褪せることのない物語
誰もが人生のどこかで出会っているであろう『ベルサイユのばら』。
私の『ベルサイユのばら』との最初の出会いは学生時代でした。
妹が持っていた漫画を読んで、オスカルが死ぬところで号泣した記憶があります。
宝塚に入り、舞台でも何度も観ました。
宝塚の代名詞とも、宝塚の古典とも言われている『ベルサイユのばら』。
出ずに終わるのかと思っていた2013年、宝塚99周年の時に月組『ベルサイユのばら-オスカルとアンドレ編-』はやってきました。
『ベルサイユのばら』に出られる!
退団を決めていた年の春、私はギリギリセーフで『ベルサイユのばら』に滑り込みました。
『ベルサイユのばら』の漫画との2度目の出会いは、はやる気持ちを抑えきれずAmazonで全巻大人買いした完全版でした。
女性に生まれながらも軍人として育てられ、数奇な運命に立ち向かっていった男装の麗人オスカル。
不平等な男社会に屈することもなく、自分の道を自分で選択し、信念を貫く姿。
恋、欲望渦巻く貴族社会、不平等な世の中、革命…。
何十年かぶりに読んだ『ベルサイユのばら』は、オスカルかっこいい!というより、池田理代子さんすごい!が先に立ちました。
ジェンダーなどという言葉もない50年以上前に、しかも20代半ばでこんな物語を描いたとは!
大人になって読んだ『ベルサイユのばら』の一番の感動は、オスカルでもマリー・アントワネットでもなく、原作者の池田理代子さんでした。
令和になった今でも、自分の人生を美しく懸命に生きたオスカルたちの物語は色褪せることはありません。
21年宝塚にいて初めて出演した『ベルサイユのばら』。
私の役は「ブイエ将軍」でした。
オスカルの上官で、オスカルを目の敵にしている敵役です。
憎まれ役ですが、彼には彼なりの正義と信念があって、彼の正義に反するオスカルは気にいらなかった。
怒鳴ってばかりで、かなりエネルギーのいる役でしたが、ちくわ頭の髪型をのぞけば、思い出に残っている好きだった役です。