望月の歌と3人の后

それはともかく、威子が後一条の中宮となったことで、太皇太后(一条未亡人)彰子、皇太后(三条未亡人)妍子、そして後一条中宮威子と、いわば三代の后はすべて道長の娘で占められることになった。「一家三后」(『小右記』)といわれる状態である。

この祝宴で道長が、

この世をばわが世とぞ思ふ望月の欠けたることのなしと思えば

と詠んだのは有名な話である。

近年、山本淳子氏はこの歌について、この世はこの夜との掛詞で、「望月」は后の隠喩として、三代の后をすべてわが娘で占めたことを歌ったものだという解釈をされている。

なかなか興味深い解釈だと思う。