間寛平さんがやってきて

6月の暑い日で、全身汗びっしょり。あいさつを交わしたが、話すこともさほどない。

『天国ゆきのラブレター』(著:坂本雄次/主婦の友社)

プロデューサーからは小田原まで一緒に走ってほしいというリクエストがあったので、並走した。「ここまで来るのに何か食べましたか?」と聞くと、「戸塚の果物屋で桃をひとつもらって食べた、あとは水だけ」と言う。

60キロ近く走ってきてエネルギーになるものはまったく食べていない。ランナーの常識では考えられないことだった。

夕方、小田原に無事到着。大阪までの第1日目、寛平さんが走った距離は80キロ。流れで夕食に誘われた。食事をしながら話を聞くと、ある人から「走るときは水分補給だけで」と言われたのだという。

寛平さんには「20キロくらいまでなら水分だけでもなんとかなるが、30キロ以上となるとエネルギーになるものを補給しないと走れない。消化によいものであれば食べなければ持たない」と告げた。

「うどんやおかゆ、場合によっては糖質がある餅、あめ、チョコレート、消化できるならおにぎりも」と言うと、「食べてもいいんや?」という認識だった。

食後、「明日からも頑張ってください!」そう励まして、私たちは別れた。