日本のテレビ局の重要な機能
今の日本のテレビ局は、先鋭化した“どの立場から見ても”不満が募って仕方がない存在なのですが、ただ一点「水の世界の原理主義によって油の世界の連帯が崩壊しないように守る」という点ではものすごく重要な機能を果たしています。
「油の世界の連帯」が生きているからこそ、アメリカならスラム街みたいになってもおかしくない地域であっても、安定した人心と低い犯罪率が維持されていたり、開発職ではない現場の工員までが高い職業倫理と圧倒的なイノベーション創出力を維持していたり、日本社会の本当の強みを崩壊から守ることができている。
大事なのは、水の世界のグローバル経済最前線での戦いから一度降りてでも、なんとか維持しようとしてきた「自分たちの強みのコア」を、再度、グローバル経済での戦い方と連動できるようにしていくことです。
そこで必要となるのが、水と油を混ぜる「エマルション」なのです。
※本稿は、『論破という病-「分断の時代」の日本人の使命』(中央公論新社)の一部を再編集したものです。
『論破という病-「分断の時代」の日本人の使命』(著:倉本圭造/中央公論新社)
堀江貴文氏失脚に象徴的な日本の「改革」失敗の本質的な理由や、日本アニメの海外人気が示唆するもの……。
「グローバル」を目指して分断が深まった欧米とは異なる、日本ならではの勝ち筋を見つけ、この20年の停滞を乗り越える方策を提示する。