ちゃんとした需要予測をしないと……

ところがちゃんとした需要予測をしないで建設してしまうと、周囲には同様に節税対策をしたいオーナーが次々にアパートを建設します。

はじめのうちは建物も設備も新しくて入居は順調だったものが、7、8年も経過すると近隣に建設された真新しい賃貸マンションにテナントが移ります。やがて保証期間である10年が経過する頃には入居率はぐっと下がっています。

(写真提供:Photo AC)

新たに保証をアパート業者に求めても、業者が指定する工事業者によって指示通りのリニューアルを実施しない限り、保証を継続してくれません。そしてその金額は法外に高いものだったりします。新たに提示される保証額も新築時よりも大幅に下がります。

もともと限られた需要のなかで開業したアパートは結局テナントの奪い合い。空き住戸も加速度的に増えていきます。

賃貸用住宅は一般的に築年数が経過するにしたがって賃料は下落すると言われるのは、需給バランスなどはいっさいおかまいなしの業者と、目の前の節税だけに関心がある土地オーナーが後(あと)を絶(た)たないからなのです。