マンション空き住戸は「関係ない」こと?
空き家問題の多くが家の老朽化、腐朽化です。木造住宅が多い日本では家に湿気がこもることでカビが増殖、木材が腐朽しやすくなります。屋根も瓦(かわら)がずれる、スレート葺(ぶ)きでも老朽化によってヒビが入り、雨漏りにつながります。外壁は蔦(つた)などが絡(から)み、腐食が進行します。
木造住宅は壁や建具(たてぐ)の隙間から昆虫などが侵入しやすく、家のなかで繁殖することで内部の腐朽も進みます。地面から上る湿気は床材を傷めます。
まったく人が住まず、通風や通水などを行なわないでいると、木造住宅の多くは2年ほどで人が住める状態ではなくなってしまいます。2年以上放置されるともはや大がかりな修繕や建替えをしないと使いものにならなくなるのです。
いっぽう鉄筋コンクリートで覆(おお)われたマンションは建物自体の劣化がしにくいと一般的には考えられています。確かに外観からは空き住戸であるかどうかはほとんどわかりません。
ベランダに植物の鉢でもたくさん置いてあれば、それが枯れて景観が悪化する、育ちすぎて隣戸(りんこ)に侵入するなどが考えられますが稀(まれ)なケースでしょう。共用部とつながるのは廊下に面した扉および廊下側の窓くらいです。通行にあたって支障にでもならない限り、特に問題になることもありません。
もともとマンションは住民同士の交流は少なく、むしろ近隣との煩(わずら)わしいつきあいを嫌って、マンション生活を選択する住民が多い傾向があります。したがって隣の家が空き住戸であろうがどうだろうが「関係ない」と考えがちです。
しかし、問題はそう簡単なものではありません。マンションが共同住宅であることを思い起こしてみてください。