(写真提供:Photo AC)
総務省統計局が公表した「令和5年住宅・土地統計調査」によると、日本の総住宅数のうち空き家数は900万2000戸で、過去最多を記録しました。そのようななか、ホテルなどの不動産プロデュース業を展開するオラガ総研代表取締役の牧野知弘さんによると「今後首都圏に<大量相続時代>が到来し、さらなる空き家の増加が予想される」とのこと。そこで今回は、著書『新・空き家問題――2030年に向けての大変化』をもとに、空き家問題の現状と今後について牧野さんに解説をしていただきました。

空き家の半分以上はマンション空き住戸

空き家と言うと、戸建て住宅を思い浮かべる人が大半だと思います。メディアなどに登場する誰も住まなくなった空き家、ゴミ屋敷化した家は、悪い意味で「映(ば)える」対象です。

また周辺環境に悪影響をおよぼす、治安悪化につながる、地震や台風など自然災害時には避難路を塞(ふさ)ぐなどさまざまな問題を引き起こす元凶としてしばしば取り上げられてきました。

そのいっぽうで、マンションなどに代表される共同住宅内で今、空き住戸が急激に増加しています。

総務省「令和5年住宅・土地統計調査」によれば、全国の空き家のうち、共同住宅の空き住戸数は502万9000戸。何と全体の56.1%、半分以上が共同住宅の空き住戸です。この数値を見る限り、どうやら空き家問題は戸建て住宅ばかりを対象に考えてはいけないことがわかります。【図表1】

<『新・空き家問題――2030年に向けての大変化』より>