被害者支援を続ける弁護士の望月晶子さん
性暴力と性暴力判決に対して抗議の声が広がっています。本日4月11日には、東京でスタンディングの動きも。日本では、性犯罪が起きても事件にならないケースが多いそうです。なぜそのようなことになるのでしょうか? 2017年、伊藤詩織さんが裁判を起こした際、性暴力の被害者を支える望月弁護士に伺った問題提起は、今でも続いています

「合意のうえで」と主張され

詩織さんが会見を開いて被害を訴えましたが、大変なご苦労や葛藤があっただろうと推察します。同時に、もし今回の件が事件化されなければ、彼女がさらにネット等でいわれなき誹謗中傷をされてしまうのでは、と心配です。

そもそもいまの日本では、性犯罪が事件化されないケースが後を絶ちません。性犯罪というのは密室で起こることが多く証拠が少ないため、立証が難しいのです。

内閣府の調査によると、加害者との関係は、「配偶者・交際相手」「親・兄弟」「職場・学校の関係者」「知人」などで、面識のある人物からの犯行が7割を超えています。さらに、被害に遭った後、誰にも相談しなかったという女性が、約7割にのぼっているのです。

また、仮に加害者の精液などの物証が残っていたとしても、「合意のうえでの性交だ」と主張されてしまうケースが多い。この場合、「合意のうえではなく、相手からの暴行や脅迫があった」ということを、被害者側が証明しなければ犯罪が成立しません。この「暴行・脅迫要件」が認定されず、事件化されなかった性犯罪が、これまでにもたくさんありました。

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●暴行・脅迫が認定されず、無罪となった性犯罪の裁判例

最高裁(2011年7月25日判決)
通行中の18歳の女性をビルの階段踊り場まで連れて行き姦淫「逃げたり助けを求めることが容易にできる状況であり(中略)叫んだり、助けを呼ぶこともなく」として、被害者が抵抗できたはずだ、と結論づけられた 

札幌地裁(2011年10月25日判決)
20代女性が顔見知りの車に乗せられ、車内で姦淫「殴る蹴るなどの強度の暴行や脅迫的な言動を一切加えていない」「夜間の被告人の車の中である」「ブルゾンのファスナーやシャツのボタンに、特段の破損やほころびがない」ことを理由に、被害者が大きな抵抗をしていなかったとされた
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被害者が近くにいたら

今(2017年)国会では、性犯罪を厳罰化する刑法改正案が提出されました。主な改正点としては、被害者に男性も含められたこと、加害者の刑罰が重くなったこと、被害者の告訴が不要となる「非親告罪化」が適用されることで被害者の負担が軽減されたこと、が挙げられます。

ただし、前述の「暴行・脅迫要件」は撤廃も緩和もされず、現行法のまま置き去りにされました。「暴行・脅迫」の立証は容易でないことが多く、今後も多くの被害者が泣き寝入りを強いられることが懸念されます。

私はいま、「レイプクライシスセンター TSUBOMI」の代表として、性犯罪被害者の支援を行っています。被害者に対しては、医療面のケアだけでなく、警察や弁護士とのやりとりや生活面でのサポートなど、さまざまな形での支援が必要となります。こうした総合的なサポートを行う「ワンストップ支援センター」は、現在、日本に40ヵ所程度ありますが、諸外国と比較して圧倒的に少ないのが現状です。被害者を支援する社会制度の充実も求められます。

万が一、被害に遭った方が近くにいる場合、被害者は自分を責めていることが多いので、「どうして〜しなかったの」といった、被害者が責められていると感じてしまうような言葉は発しないことが大切。

それよりも、「あなたは悪くない」と声をかけてあげてください。「100%あなたの味方よ」という気持ちを伝えることが、被害者に寄り添うことになるはずです。