もし被害者が近くにいたら

2017年、国会では、性犯罪を厳罰化する刑法改正案が提出されました。主な改正点としては、被害者に男性も含められたこと、加害者の刑罰が重くなったこと、被害者の告訴が不要となる「非親告罪化」が適用されることで被害者の負担が軽減されたこと、が挙げられます。

ただし、前述の「暴行・脅迫要件」は撤廃も緩和もされず、現行法のまま置き去りにされました。「暴行・脅迫」の立証は容易でないことが多く、今後も多くの被害者が泣き寝入りを強いられることが懸念されます。

私はいま、「レイプクライシスセンター TSUBOMI」の代表として、性犯罪被害者の支援を行っています。被害者に対しては、医療面のケアだけでなく、警察や弁護士とのやりとりや生活面でのサポートなど、さまざまな形での支援が必要となります。こうした総合的なサポートを行う「ワンストップ支援センター」は、現在、日本に40ヵ所程度ありますが、諸外国と比較して圧倒的に少ないのが現状です。被害者を支援する社会制度の充実も求められます。

万が一、被害に遭った方が近くにいる場合、被害者は自分を責めていることが多いので、「どうして〜しなかったの」といった、被害者が責められていると感じてしまうような言葉は発しないことが大切。

それよりも、「あなたは悪くない」と声をかけてあげてください。「100%あなたの味方よ」という気持ちを伝えることが、被害者に寄り添うことになるはずです。