「改めてもう一度、ここに来よう!」

そう思っているうちに、能登は大豪雨に襲われた。弱り目に祟り目どころの騒ぎではない。彼らの胸の内を想像するといたたまれなくなったが、それこそ泥水にまみれて片づけに精を出している方々に寄り添うタイミングがつかめず、日は過ぎていった。

そして十月になり、金沢で仕事をすることになった。私は翌日の予定を入れないことにした。

M子と相談し、今回は時間的制約もあり、輪島だけ訪れることにした。テレビディレクターであるM子は最近、ドキュメンタリー番組を作るため頻繁に輪島通いをしているので、知り合いが増え、土地勘も得たという。

「カッコいい人ばかりなんです。紹介します」

テレビウーマンであるM子は見事な予定表を作ってくれた。

まず仮設の朝市を訪れて、カレイの一夜干し、ホタルイカの素干しとタコ丸干しなどあれこれ買い込んで、朝市のおばちゃんたちと記念撮影。

続いて市内の重蔵神社訪問。神社も地震で壊滅状態だったが、鳥居前に大きなテントを張り、各地から届く支援物資を保管。随時、小型トラックで住民に配る作業を神社スタッフが率先して行っていた。当日は、各戸へ大型ペットボトルの水を届けるお手伝いをすることにした。