任せたぜ。蔦の重三

「瀬川」の名は、四代目が自害したために不吉として20年近く空いていた名跡だったことから心配する蔦重。対して、不吉と言われたのは、身請けが嫌でマブと心中しようとしたのがその真相だった、と語る花の井。そして

「そんな不幸はわっちの性分じゃ起こりようのないことだし、わっちが豪気な身請けでも決めて瀬川をもう一度幸運の名跡にすりゃいいだけの話さ」

と続けます。対して蔦重が

「男前だな。お前」

と話すと、去り際に花の井は

「吉原をなんとかしたいと思ってんのはあんただけじゃない。だから礼にゃ及ばねえ。けど…任せたぜ。蔦の重三」

とあらためて告げ、感謝を伝えた蔦重はその紙を手に覚悟を固めるのでした。