2回目の骨折は、高校2年生の時。放課後の掃除当番で、体育館の床のモップ掛けをしていた。つまらない作業を少しでも楽しくしようと考えた私は、モップの柄の先を右の脇腹に当てて右方向へ「欽ちゃん走り」をしてみた。

楽しくなって続けていたら、急に名前を呼ばれ、「なに?」と振り返った瞬間、「グキッ」という嫌な音が。息ができないほどの痛みにしゃがみ込んでしまった。体育館の壁に激突した衝撃がモップの柄から私の右脇腹に伝わったのだ。

それでも頭の中は冷静だった。(1)きっと骨折している、(2)保健室に行く、(3)湿布を貼ってもらう、(4)家に電話して母にタクシーで迎えに来てもらう、(5)そのまま整形外科に行く。これらを実行に移した。駆け寄って「大丈夫?」と聞いてくれた級友に、「たぶん折れてる。悪いけど保健室に私の靴と鞄を持って来て」と甘えた。

そして、9年前と同じ医院へ。すっかり好々爺になった院長先生に、恥を忍んで事の顛末を話すと、笑いながら「アホやなぁ」と言ってレントゲン写真を撮ってくれた。診断は「右第9肋骨骨折」。

そして母のたっての希望で強化プラスチック製のバストバンドを購入したが、これが大正解。しっかり固定できたおかげで、痛みによるイライラで母に当たることもなかった。母は私以上に学習していた。

しかし、笑ったり息んだりすると突然来る肋骨骨折特有の痛みには難儀。1ヵ月を過ぎると痛みはなくなり、治療が終了した。そして細心の注意をしていたにもかかわらず、7年後に3度目の骨折をするとは……。