洗濯物を早く干そうとして、まさかの行動に

縁あって結婚した私は、実家の近くに新居を構えて半年、楽しい新婚生活を送っていた。しかし、独身時代は母頼みだった家事に悪戦苦闘。夫を送り出して、二槽式の洗濯機を回しながら掃除をしていた時のこと。

天気の良い秋の日で、洗濯物を少しでも早く干したいと考えた私は、脱水槽の蓋を開け、まだ停止していないその中に右手を入れてしまった。すると、洗濯物に指が引っ掛かって腕がねじれ、「ベキッ!」 と鈍い音が。同時に右腕全体に強い痛みが走る。

右手に力が入らず、骨折したことを確信。落ち着け、冷静になれ。(1)右腕をバスタオルで保護、(2)タクシーを呼ぶ、(3)医院を受診する、(4)母に連絡。

青い顔をして現れた私を見た院長先生は、「ドコや?」。眉間にシワを寄せて聞き終えると、不機嫌そうに「下手したら手術やぞ」と言い放った。こんな怖い顔の先生を見たのは初めてだ。手術になったら夫と母にどう説明しよう。痛みと悪寒に耐えながら、自己嫌悪に陥った。

レントゲン写真を見た院長先生はべそをかいている私に、「右尺骨骨折や。そんなに骨はズレてないし、ほかは大丈夫やから手術はせんでもいい」。ホッとして涙があふれた。