90歳からは 新しい人生をスタート
そういったアクシデントも乗り越えながら、ファッションの道を長きにわたって歩んできました。私が最初にショーを行ったときはなにもなかった場所が、数年後に訪れたらものすごい勢いで発展を遂げていたり――。世の中が変わっていく様子を間近で見てこられたのは、本当にエキサイティングな経験だったと思います。
この64年間、本当にいろいろなことがありました。ときには困難にもぶつかったけれど、ファッションの仕事を諦めようと思ったことはないですし、同時にアートにも取り組んできました。私は少女時代、画家を目指していたのです。
ファッションの仕事もアート、そして私生活も含め、すべての経験が宝。そうした今までの蓄積を土台にして、88歳からの10年は新しいことにチャレンジするつもりです。
ひとつは、今までやってきたことのバトンを次世代に渡す活動。とくに若い世代に対してプラスになることを、事業としてやっていく予定です。
昨年は子どもたちに、洋服のデザインやスタイリング、撮影など、クリエイティブな体験をしてもらう東京都の事業「こどもファッションプロジェクト」の監修を行いました。そういった取り組みを、継続してやっていきたいのです。